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エラスチンとは?肌のハリを保つための完全ガイド【コラーゲンとの違いも解説】
健康スペシャルティ
公開日 1970/01/01
最終更新日 2026/08/19
エラスチンとは?基本情報とその役割
エラスチンの構造と特徴
エラスチンは、私たちの体を作るタンパク質の一種です。ゴムのように伸び縮みする線維を作る特徴があるエラスチンは、さまざまな組織に柔軟性を与える役割を果たしています。
体内でエラスチンが多く含まれる部位
エラスチンは、皮膚や血管、心臓や肺などの伸縮性が重要となる組織に多く含まれています。繰り返し形を変えても元に戻ることができる柔軟な組織の維持には、弾性線維を作るエラスチンの機能が不可欠です。エラスチンは、肌の健康だけではなく、全身の健康を支える重要なタンパク質として、近年注目されています。
肌のハリとエラスチンの関係
肌におけるエラスチンのはたらき
肌ではたらくエラスチンは、コラーゲンやヒアルロン酸とともに真皮という組織に多く含まれています。
私たちの皮膚は、表面から表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されており、そのなかでも真皮は皮膚の本体とも言える重要な組織として、スキンケアでも注目されています。真皮では、全体の約70%を占めるコラーゲンが網の目のように張り巡らされており、その網の目をエラスチンがつないでいます。エラスチンは真皮全体の約5%しか含まれていませんが、コラーゲン同士を結び付け、肌を内側から支える重要な働きをしています。
真皮のエラスチン線維とコラーゲン線維が網目構造をしっかり維持していることと、その隙間にあるヒアルロン酸が十分な水分を蓄えていることで、ハリのある健康的な肌が保たれます。この構造のおかげで、私たちの肌は外部からの刺激や動きに対応しながらも形を保つことができており、エラスチンはその重要性から高い関心を集めています(1)。
エラスチンとコラーゲンの違いと相互作用
エラスチンとコラーゲンは、どちらも真皮を支える重要な線維を作りますが、それぞれ異なる特徴と役割を持っています。
真皮の大部分を占めるコラーゲンは、伸びたり縮んだりしにくい代わりに強靭な特徴を持つ「膠原(こうげん)線維」を作ります。一方、エラスチンはゴムのような伸縮性が特徴的な「弾性線維」を作るタンパク質です。
真皮では、鉄筋のように張り巡らされたコラーゲン線維を、弾力性のあるエラスチン線維が束ねることで、強さと弾力性を兼ね備えた組織が維持されています。
スキンケアにおいては、長年コラーゲンが注目されてきましたが、コラーゲンとエラスチンの共存関係が肌のハリに重要であることが知られるようになり、エラスチンも近年注目されています。
年齢とともに減少するエラスチン
エラスチンは長年はたらき続ける特殊なタンパク質!
肌のハリを支える重要なタンパク質であるエラスチンは、実は新たに生成されることが少なく、一度生成されたものが長年体内ではたらき続ける特殊なタンパク質であることも知られています。
一般的に、私たちの体を構成するさまざまなタンパク質は、新陳代謝により古くなったものが新しいものに置き換えられることで、正常な組織を維持しています。一方、エラスチンは非常に長持ちする特殊なタンパク質で、全身の組織を支えるエラスチンの多くが、胎児から幼少期までの成長の間に生成されたものであると考えられています(2)。
エラスチンは数十年にわたり活躍することができる耐久性の高いタンパク質ですが、年齢とともにエラスチンの生成能力は低下してしまいます。エラスチン線維が加齢や紫外線などによるダメージで機能を損なうと、生成能力の低下に伴い再生しにくくなり、肌のシワやたるみにつながりやすくなると考えられています。
そのため、正常なエラスチンをいかに維持するかが、近年スキンケアにおいて注目されています。
肌の老化と紫外線によるエラスチンへのダメージ
肌の老化には、加齢に伴う「自然(生理的)老化」と、長期間日光に曝されることで紫外線によるダメージが蓄積する「光老化」があります。
通常の加齢に伴う自然老化では、コラーゲンやエラスチンを生成する線維芽細胞が減少することで、肌が弾力のない薄いものへと変化します。光老化では、線維芽細胞やエラスチンの弾性線維構造へ紫外線によるダメージが蓄積することで、コラーゲンの減少や弾性線維の破壊が生じてしまい、肌が硬くシワの深いものへと変化します(3)。
日によく当たる部分は、生理的老化と光老化が同時に進行しており、特に光老化の影響が大きいと考えられています。健康的な肌を保つためには、コラーゲンやエラスチンの量を意識するだけでなく、UVケアなどにより予防可能な紫外線ダメージを防ぐ意識を継続することも重要となります。
エラスチンの肌への影響に関する研究報告
エラスチンは分子サイズの大きなタンパク質で、水に溶けにくく扱いが難しい素材であったこともあり、コラーゲンと比べるとあまり研究が進んできませんでした。しかし近年、加水分解により低分子化された動物由来のエラスチンペプチドの活用により、食品や化粧品の分野でエラスチンをテーマにした研究が進んでいます。
この記事では、エラスチンペプチドが肌へどのような影響を与えるのか調べた研究を一部ご紹介します。
ヒト線維芽細胞を対象とした研究
線維芽細胞は、皮膚の真皮に存在する細胞で、エラスチン・コラーゲン・ヒアルロン酸など、肌の健康維持に不可欠な物質を作り出す役割を担っています。
ヒト線維芽細胞に動物由来のエラスチンペプチドを加えたいくつかの研究では、エラスチンペプチドの投与により線維芽細胞の増殖やエラスチン生成量が増加した結果が報告されています(4)。
また、ヒト線維芽細胞にサケ由来のコラーゲンペプチドとエラスチンペプチドを加え、細胞増殖への影響を調べた研究では、それぞれを単体で加えた場合と比べ、コラーゲンとエラスチン両方を合わせて加えた場合の方が、細胞増殖が大きく活性化された結果が報告されています(5)。
ヒトを対象とした研究
ヒト線維芽細胞をエラスチンペプチドが活性化させる可能性が示唆されたことを踏まえ、エラスチンペプチドの摂取がヒトの皮膚にどのような影響を与えるか評価する研究が実施されました。
この研究では、健康な成人計100人が1日100mgのカツオ由来エラスチンペプチドを12週間摂取したところ、プラセボと比較して肌荒れやしわの深さ、目の周りのしわの量が改善された結果が報告されています(6)。
また、ブタ由来エラスチンペプチドを用いた別の研究では、健康な成人計34人が1日100mgまたは200mgのエラスチンペプチドを8週間摂取したところ、摂取前と比べ肌の弾力性が向上した結果が報告されています(7)。
これらの研究からは、エラスチンペプチドの摂取が肌の状態に影響を与える可能性が示唆されています。
ただし、これらの研究結果はあくまで特定条件下での傾向を示すものであり、誰にでも同じ作用があるとは限りません。また、健康食品やサプリメントは医薬品ではないため、治療や予防を目的に利用することはできません。そのため、エラスチンについての研究情報は、一般的な生理学的役割や研究事例として理解することが重要です。
食べ物でエラスチンを補う
エラスチンは、さまざまな動物の体に含まれるタンパク質で、鶏皮や豚足、牛すじ、魚の皮、軟骨部分などに比較的多く含まれると考えられています。しかし、エラスチンは分子サイズが大きく水に溶けにくいタンパク質であるため、これらの食品から直接エラスチンを摂取することは難しいとも考えられています。
そのため、近年は動物由来のエラスチンペプチドを含むサプリメントが摂取源として注目されています。これらを活用することで、エラスチンペプチドを継続的に摂取できると考えられています。
生活習慣でエラスチンをサポート
肌のハリを支えるエラスチンの機能を保つためには、外側からのケアと内側からのケアの両方が大切です。
紫外線対策とスキンケア
外側からのケアのポイントとしては、特に紫外線対策が重要で、そのなかでも真皮まで届くUV-Aまで防ぐことのできる日焼け止めの使用は非常に効果的です。また、肌の乾燥を防ぐ保湿と、摩擦や強い刺激を避ける基本的なスキンケアも欠かせません。
睡眠・運動・バランスの取れた食事
内側からのケアのポイントとしては、十分な睡眠や適度な運動、バランスの取れた食事などの健康的な生活習慣を維持することが挙げられます。
栄養不足は、線維芽細胞によるコラーゲンやエラスチンの生成を低下させる恐れがあり、健康を維持するうえでも注意が欠かせません。睡眠不足や運動不足も、さまざまな老化プロセスを進行させてエラスチン線維へ悪影響を与える可能性があり、注意が必要です。
これらの日常的な対策は、直接的にエラスチンを増やすわけではありませんが、肌の土台を整え、エラスチンのはたらきをサポートすることにつながります。エラスチンの活用とともに生活習慣を改善することで、健康的な肌の維持につながると考えられます。
参考資料:
- Clinical Relevance of Elastin in the Structure and Function of Skin | Aesthetic Surgery Journal Open Forum
- Elastases and elastokines: elastin degradation and its significance in health and disease
- 光老化は普通の老化とどう違うのですか? │公益社団法人日本皮膚科学会
- Applications of Elastin in Cosmetics: Prospects and Challenges
- サケ由来コラーゲンペプチドとエラスチンペプチドのヒト皮膚正常繊維芽細胞(SF-TY)におけるヒアルロン酸産生促進および細胞増殖への相乗効果
- Oral consumption of Bonito fish‐derived elastin peptide (VGPG Elastin®) improves biophysical properties in aging skin: A randomized, double‐blinded, placebo‐controlled study
- ヒトにおけるブタ由来エラスチンペプチド摂取による皮膚弾力性向上作用